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マネジメントを変える

マクロの世界とミクロの仕事のギャップの埋め方

「目の前の仕事にモチベーションが上がらない」
「自分が本当にやりたいことと今の業務がどう繋がるのかがイメージしづらい」
「やりたいことは漠然とあるがどうすればそこにたどり着けるのかがわからない」

多くの組織のリーダーやマネジャーが、 部下や後輩からこのような言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。簡単にはに答えにくいものの、これらのことを部下が明確に自分なりの解釈をもてた時には、集中力も高まり、成果をだしやすくなります。

だからこそ、漠然とした想いを具体的な目標に近づけてあげること、長期的にやりたいことと日々の業務を繋げてあげることがリーダーやマネジャーにとって部下や後輩の力を引き出す上で非常に大切なポイントになると思います。

今回は、マネジャーやリーダーの皆さんがこのような悩みと向き合う上でのヒントについて、ジェイシーテクノロジー株式会社の古和田直樹さんにお話頂きます。

エンジニア出身の古和田さんは、これまで数多くの若手の育成に携わり、現在も事業を管掌しながら100人100通りのマネジメントの実践を掲げています。若手メンバーの能力と可能性を最大限引き出すために日々現場で奮闘している古和田さんの視点をぜひ現場のマネジメント課題の解決の参考にしてみてください。

●紹介文
古和田直樹。ジェイシーテクノロジー株式会社 取締役 技術サービス部長。
1996年 旧日立情報システムズ株式会社入社。
ITエンジニアとして、フリーランス、ベンチャー企業を渡り歩く中でチームビルディングとチームマネジメントを経験。
2012年11月 ITエンジニアをゼロから育成するをコンセプトに、ジェイシーテクノロジー株式会社の立ち上げ責任者として従事し現在に至る。

ジェイシーテクノロジー社オフィスでの撮影

2012年に創業した当社は、一貫してIT業界で技術者としての成功を夢見る若者を育成することをコンセプトとして、今日に至るまで会社を運営しています。
多くの求職者や当社の従業員と接するなかで、少なからず傍から見たITの世界と自身が携わるべき仕事とのギャップが生じてしまう人がいます。
そのような方向けのアドバイスとして経験を交えてお伝えしていきます。

仕事のモチベーションのジレンマ

そもそも労働とは何かという話から始まります。
日本国憲法における勤労の義務から語り出すと収拾がつかなくなりますが、大多数の働いている方の労働目的は生活を維持するためだと考えます。
一方で生活を維持することそのものが労働のモチベーションに繋がっているかというと違うと思います。生活を維持する、そのために働くのは大原則であって、労働を途切れさせないという理由でしかありません。

働かなければいけない状況下において、労働そのものをいかに明るく楽しくするかについては、また別の目的が必要になります。
興味のある職種や業界に就けば楽しく働けると考えがちですが、労働の目的を見直し、本当にその職種や業界に身を置くことで楽しく働けるのかということを徹底的にリサーチする必要があります。

なぜこの業界なのか、なぜこの職種なのか、ということをヒアリングすると到底一個人には紐づかないマクロの世界を語ってくれます。
生活に欠かせないものとなったITにおいては他の業界と比べてもこれが顕著に表れていると思います。
社会を豊かに出来ると思うから、人々の生活を支えられると思うから、世界の最先端に関われるから、将来の生活が守られるから、世の中の働き方を変えられるから、様々です。

どれも間違ってはいませんが、どれも個人で成し得るものではなく、延いてはこれらがこの業界、業種に楽しく長く携わるモチベーションになるとは思えません。
社会における個々の存在意義や承認欲求など、心理面の作用が大きいのだと思いますが、これらをモチベーションにして働いていくのは至難の業だと考えています。

部下がぶつかるギャップとは

前述のようなマクロの要素をモチベーション(のつもり)として働いている部下からは遅かれ早かれ相談が持ち掛けられます。
相談の前に退職を考えているケースも多々あります。
本人からしてみれば、生活を維持するためにやっている目の前の仕事(ミクロ)と、労働意欲を維持するために関わりたいこと(マクロ)との大きなギャップが生じており、来る日も来る日もこの溝が埋まらないことにストレスを感じてしまい、気付いた時には業界、職種に対する希望が消滅しています。

ここに会社理念や経営陣の志、上司の熱い想いを説くことによって奮い立たせることが一般的ですし持ち直す部下も少なからずいると思いますので、やらないよりやるべきです。
しかし根幹は社会対個人の間のギャップであり、この大きなギャップに会社や上司が介在して解決することは難しいと思います。

一人ひとりへの関わり方のヒント

私がこのような相談を受けた時は、まず目の前の仕事を繰り返すことによって何を成し遂げることが出来るかを一緒に考えるようにしています。
もともと視点がマクロにある方は、小さなことの積み重ねが何に繋がるかということを考える機会が少ないので、こちら側から可能性を提示するようにします。

それは、スキルアップでも評価アップでも給料アップでも出世でも何でも良いですが、重要なのはその部下の性格、思考、価値観をあらかじめ認識して、気持ちに響きそうなものを出すことで、マクロ視点がミクロに近付きます。

リーダーによる教育や成長促進によって、部下の目前に広がるマクロの世界に早期且つ直接的に携わらせることは非常に困難なことです。
所属する組織や企業そのものが、部下の思い描くマクロの世界に直接的に携われているかどうかすら難しい部分になります。

しかし、将来に向けて大きなものを作り上げるためには小さな欠片集めをする必要があることを理解させれば、自ずとミクロの部分にも力が入っていくのではないかと思います。
総じて目標設定がこれに当たりますが、そこまで仰々しくするとまた混乱を招くことになります。

「なぜ、この仕事をしたいのか?」という質問を投げかけた時に、古和田さんのおっしゃるマクロ要素のモチベーションを回答されたことがあるという方もいらっしゃるかと思います。特に新入社員や若手であればあるほど、仕事における自分の価値観や強みを本人自身が掴めていないために、マクロ要素で回答するしかないことも多いです。

だからこそ、身近で働くマネジャーが目の前のミクロの仕事の視点を投げかけ、日々の業務を通じた成長のイメージを持つのを手助けすることが重要になります。何事を成すにも「小さなことの積み重ね」であることを伝え、ミクロの仕事を意味付けながら伴走しながら、内発的に動機付けるというアプローチをぜひ参考にしてみてください。

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Bellwetherは、現場をなんとかしたいと思っているリーダーに向けて発信する、マネジメントメディアです。株式会社KAKEAIが運営しています。これから管理職に就こうとしているリーダーに、マネジメントとは何かを感じ取るための、様々な考え方や理論、組織を牽引するリーダーの考え方を幅広く紹介します。多様性を楽しみ、解なき複雑な時代に挑むリーダーを応援します。

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