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マネジメントを変える

【必読】新人マネージャーにおすすめしたい3冊

部署や課の管理を行う「マネージャー」職に就くと、会社から求められるレベルがぐんと上がります。

一人のプレイヤーとして会社に貢献するのではなく、メンバーの育成や時間管理、予算の管理に加え、今後を見据えた事業計画を立てたり、チーム再建に努めたり、新規採用や人事異動に関わったりと、仕事の難易度が上がっていきます。

今までにない難しさにやりがいを感じるとともに、思っていたようにうまくいかずに悩むこともあるでしょう。

そんな方に向けて、マネージャーになったときに読みたい本を3冊選びました。 

「攻め」も「守り」も学べる一冊

そもそも、マネージャーとは社内でどのような位置にいて、仕事で何を求められているのか? 

部下をマネジメントするに留まらない、その役職に必要な心構えやスキルについて書かれた一冊がこちら。

『課長の心得』安部哲也(総合法令出版)

※「企業によっては、『マネジャー』『チームリーダー』などという役職名になっていることもあるだろうが、本書では、実質的に課やチームなどの管理をする責任者を『課長』と呼ぶことにする」と定義されており、ここでは「課長」は「マネージャー」も含む内容です。

「マネージャー(課長)向けの本」と聞くと、マネジメントのノウハウを教える一冊を想像することが多いでしょう。

しかし、本書ではマネジメント力は、課長に求められる力のうちのひとつです。

著者の安部哲也氏は、働き方が変化している現在において、課長には以下の力が必要だと述べています。

・マネジメント力
・リーダーシップ力&イノベーション力
・グローバル力&ダイバーシティ力
・フォロワーシップ力
・セルフマネジメント力

各項目の解説は非常に細やか。

たとえば「マネジメント力」の項目には、役割分担と権限委譲から、ティーチングやコーチングの技術、職場のストレス・マネジメント、ミドル・アップ&ダウン・マネジメント(情報や意思決定の中心となること)など、さまざまな手法について解説されています。

また、扱い方が難しい部下のタイプに分けた「部下のタイプ別マネジメント法」や、プレイイング・マネージャー向けの心得も記載されています。

本書ではマネジメント力を「守り」とする一方、課長に必要な「攻め」の手法として「リーダーシップ力&イノベーション力」を挙げています。

組織が変わるためのビジョン・目標づくり、変革に向けたメンバーの巻き込み方、ひとりで抱え込まないための共同型マネジメント&共同型リーダーシップの方法、新規事業を立ち上げるために必要な要素……など、ただ部下をマネジメントするだけではない、課長ならではの多様な役割を理解できます。

「グローバル力&ダイバーシティ力」では、さまざまな国や性別、年齢、雇用形態のあるメンバーをまとめるためのノウハウについての解説を。

「フォロワーシップ力」では、上司にあたる人たちの「真のパートナータイプ」を目指す重要性を解いています。

最後の「セルフマネジメント力」では、部下の育成に熱心に取り組む人ほどつい忘れがちな、自分自身をマネジメントすることの大切さに気づくでしょう。

マインドフルネスやアンガー・マネジメントなど、話題のキーワードも満載です。

課長やマネージャーを任されたときに、教科書代わりにまず手に取ってみてください。

ドラッカーをわかりやすく解説

2009年に発売されてベストセラーとなった『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(通称『もしドラ』)。

そこでドラッカーの名を知り、その元になった著作『マネジメント』に興味を持った方は多いでしょう。

しかし『マネジメント』はかなりの大作で、読破するのはなかなか大変……という場合、まずこの一冊をおすすめします。

『NHK「100分de名著ブックス」ドラッカー マネジメント』上田惇生(NHK出版)

今までお話してきたドラッカーの来歴を振り返っていただければ分かると思いますが、ドラッカーは単に企業経営や組織運営のノウハウを伝えたくて『マネジメント』を書いたわけではありません。

 さまざまな時代を見るなかで「人間を幸せにする社会とはなんだろう?」と、さんざん考えた末にたどり着いたのが『マネジメント』という方法論だったのです。つまり『マネジメント』は、経営学の本というよりも、人間を感動させ、幸せに導くために書かれた本といっていいのかもしれません。

【引用―P.36】

上記を踏まえて、上田氏は本書を通して『マネジメント』の特徴を解説していきますが、ドラッカーにまつわるさまざまなエピソードを交えた解説がなされていて、「なぜドラッカーはこのように考えたのか」と、思考の背景も含めて理解することができます。

たとえば、ドラッカーが掲げているマネジメントの3つの役割のなかに「自らの組織に特有の使命を果たす」という定義があります。

この言葉だけを読んでも、その意味はすんなりと頭に入ってきにくいでしょう。

しかし、上田氏はドラッカーがかつて、あるCEOに対して「あなたの会社のやっている仕事は、すべてワクワクドキドキするものばかりか?」と尋ねたエピソードから、ドラッカーの真意が「喜びを感じながらやる仕事こそ本業とすべき」という考えにあることを解説します。

本書を読み進めると『マネジメント』に書かれている内容への理解だけでなく、ドラッカーの思い描いていた理想の社会、ひいては組織のイメージが、脳内に立ち上がってきます。マネジメントの手法を通して、今の社会を考えるキッカケにもなるでしょう。

チーム再建や部下育成のコツを

最後に紹介するのは、プルデンシャル生命保険株式会社をはじめとする、生命保険業界で数々の奇跡を起こしてきた、名マネージャーによる一冊です。

『25年間「落ちこぼれチーム」を立て直し続けてわかった マネジャーとして一番大切なこと』八木昌実(ダイヤモンド社)

八木昌実氏は、食品会社に7年間務めたあと、プルデンシャル生命保険に転職。

ライフプランナー(保険外交員のこと)として入社した彼は、1年目で全国4位、2年目で全国1位の成績を残します。

その後、マネージャー(営業所長)に転じ、新設した支社を全国2位に育て上げたり、全国最下位の支社を10ヶ月で全国2位に立て直したり、撤退寸前だった韓国法人を1年で立て直したりと、数々の偉業を成し遂げました。

しかし、著者自身が「私はいたって平凡な人間で、マネジャーになった頃は、むしろ失敗の連続。

任されたチームは全国最下位に沈んでいました」と書いている通り、本書で語られる偉業のすべてに試行錯誤の跡があります。

悩んだ結果、八木氏がどのように考え方や方法を切り替えて成功につなげたか、独力で身につけたノウハウを余すところなく教えてくれるのです。

生命保険業界という、特定の業界内のエピソードが続きますが、業界問わずにマネージャーとして覚えておくべき金言が満載です。

とくに印象的なのが、部下への対応。

八木氏は「何があっても、部下のことだけ考える」と語り、本書を通して部下の心に寄り添い、部下の本音を引き出し、部下と一緒に悩んで、部下が答えを出すまで待ち、部下の頑張りを褒めることを推奨します。

八木氏は、それらの行動がなぜ部下を育成するために必要なのかを、具体的なやり方と合わせて丁寧に解説しています。

また、注目すべきは第8章「落ちこぼれたチームはこう『再建』する」です。

第7章までに書かれたのが「基本編」だとすると、第8章はまさに「応用編」。

普通のメンバー相手ではない、問題だらけのチームを立て直すために、組織をシャッフルしたり、一部の部下を見捨てたり、ひとりの部下に集中的なサポートをしたりと、さまざまな工夫をします。

その結果、全国ほぼ最下位に沈んでいたライフプランナーを全国チャンピオンに育て上げ、彼の活躍を見たほかのメンバーの心にも火がついて、見事再建を果たすのです。その柔軟な思考や姿勢から学ぶことは多いはずです。

「マネジメントとは、技術ではなく心の持ち方である」と八木氏は語ります。

ただのテクニックではない、信頼に基づくマネジメントを、本書を読めば学ぶことができるでしょう。

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