アフターコロナとその先の働き方を考えてみる
新型コロナウイルスの拡大により私等を取り巻く労働環境は、大きく変化しました。
特に、7都府県向けに緊急事態宣言が発令された4/7以降は多くの企業でテレワークが導入され、ビジネスパーソンの多くは自宅での勤務を余儀なくされました。
関東1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の企業に絞ってみても、2/19に9%であったテレワーク推奨/義務化状況導入率が4/16には53%まで急拡大しています。(LINEリサーチ調べ)
このような状況をきっかけにオフィスを全面廃止とするベンチャー企業も登場してきています。
一例として、日本経済新聞の報道によれば「地域情報サイトを運営するマチマチ(東京・渋谷)はJR渋谷駅付近のオフィスの解約を17日に通告し、3カ月後に退去する。」と言われています。今後はさらに拡大していくかもしれません。
2017年頃から働き方改革が叫ばれてきましたが、新型コロナを契機に、期せずして私たちが働く環境は加速度的に大きく変化しています。
しかし、一口に働き方が変わると言っても、どのように変化していくのでしょうか。
本記事では、働き方の変革に繋がる様々な取り組みや最新技術を紹介しつつ、さらに少し先の未来の働き方をイメージしてみたいと思います。
勤務先から離れても働ける時代に?
まずは働く場所の変化です。
自宅で働くテレワークが拡大しているのは冒頭で触れた通りですが、今後はその場所がもっと自由になるかもしれません。
2015年から始まった総務省の「ふるさとテレワーク」という取り組みがあります。これは、地方のサテライトオフィス※等においてテレワークにより都市部の仕事を行う働き方のことです。
これまでに多くの自治体と企業が協力し、地方にいながら都市部の仕事を行うという働き方を実践しています。
〈※サテライトオフィス :本社や本部から離れた場所に設置されたオフィス〉
例えば和歌山県の白浜町では、平成26年度補正の事業により、テレワーク拠点を整備。NECソリューションイノベータ株式会社をはじめ複数の企業がテレワークを実施しています。
その中で、外資系企業「セールスフォース・ドットコム」は、サテライトオフィス「Salesforce Village」を設置しました。
そこでは社員が白浜町に移住して電話やメール等を用いた営業活動を行っています。業務成果としても、商談件数が+20%、契約金額が+31%という結果を出しています。
心身ともにリラックスできる豊かな環境で仕事をする事で、生産性が向上していくのかもしれません。
このように、今後は都市部の仕事をしながらも、遠く離れた故郷やリゾート地で過ごすという選択肢が現実的になってくるかもしれません。
勿論、新型コロナが収束していない状況では、都市部から気軽に地方へ移動して働くという事は難しいですが。
次世代の働き方を実現する最新技術
離れた距離を繋いで加速するテレワークを実現する技術の中で注目されているものの1つが5Gです。
5Gとは「5th Generation」の略です。日本語で第5世代移動通信システムを意味し、これまでの4Gに変わる最新の通信規格です。
総務省によると、その特徴は従来技術の延長線上の「超高速」だけでなく、「超低遅延」、「多数同時接続」による新たなネットワーク要件を備えていることだとされています。
そして5Gは、すべてのモノがインターネットに接続されるIoTの実現に不可欠な基盤技術としても位置付けられています。
では、この5Gが私たちの働き方に対して具体的にどのような恩恵を与えてくれるのでしょうか。
高速なデータ共有
4Gの約100倍と言われる超高速通信によりデータを高速に送受信できるようになります。これにより、あらゆる場所から大容量データにアクセス・共有し、場所を選ばずにチームで同期を取りながら働ける様になるでしょう。
高精細でタイムラグのないウェブ会議
また、これまでよりも高精細な動画を用いたウェブ会議の実現もできるようになり、極めて高い臨場感を持ったリモートワークを実現できる様になるかもしれません。
皆様の中でも、「ウェブ会議の最中に声が途切れた、動画が固まった」というご経験をお持ちの方は多いと思います。今後はそんな悩みは消え去るのかもしれません。
究極のリモートワーク
さらにもう少し未来を見据えると、立体的で精巧な自分のホログラムを使って働ける時代が来るかもしれません。
2019年にマイクロソフトがラスベガスで開催したパートナー向けイベント「Microsoft Inspire 2019」において、人間のホログラムが翻訳された言語を話す姿を公開し人々を驚かせました。
登壇したのはMicrosoft Azure担当のJulia White氏。彼女はヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens 2」を装着しています。
そしてその横に、彼女にそっくりなホログラム映像が登場します。
ホログラムの彼女は、本物と同じ声で日本語を話し始めます。本来彼女は日本語を話すことができません。実際の映像を見てみましょう。
(再生開始2分あたりでホログラムの分身が登場します。)
現段階では作成済みのホログラムに事前に録音した音声を重ね日本語を話しています。
この技術を使えば、今後は遠く離れた場所にいる人と、まるで目の前にいるかのように一緒に仕事ができるのかもしれません。
しかも、異なる言語を話す相手と。
これは決して遠い未来の話ではありません。日本の企業「株式会社ホロラボ」では、上記の「Microsoft HoloLens 2」を用いた3D立体映像遠隔コミュニケーションシステム(HOLO-COMMUNICATION)を提供しています。
ホロラボ社によれば「HOLO-COMMUNICATION は、遠隔参加者の前に設置した 3D センサーにより 3D 立体映像をリアルタイムで目の前に出現させ、音声やジェスチャーでコミュニケーションできる 3D立体映像遠隔コミュニケーションシステム」です。(参考:株式会社ホロラボ)
いかがでしたか。
近い将来、距離や場所、そして言語さえも超えた次世代のコミュニケーションが実現される可能性があります。
その時には、新しい働き方やチームのあり方が求められていく事でしょう。
ちなみにそれをイメージした時、私の脳裏にはスター・ウォーズ™に登場するジェダイ評議会が浮かびました。笑
※本記事の記載内容には各社の登録商標または商標を含みます。
※本記事の一部は以下のウェブサイト及び資料に記載の内容を参照または引用して執筆致しました。
深く御礼申し上げます。
・日本経済新聞【もうオフィスは不要 新興勢がコロナで解約、遠隔に】(2020/4/29)
・ふるさとテレワークポータルサイト
・マイナビニュース【海岸を見下ろす眺望の良いオフィスでテレワーク】(2019/10/02)
・セールスフォース・ドットコム、総務省による地方創生に向けた「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」に参画
・総務省ICT地域活性化ポータル
・移動通信分野の最近の動向
・AXIS Web Magazine【マイクロソフトが他言語でスピーチするホログラムを開発 最新AI技術を活用して流暢な日本語を話す】(2019.07.24)