1. HOME
  2. マネジメントを変える
  3. 「人事評価とは?」新任マネジャーへの処方箋
マネジメントを変える

「人事評価とは?」新任マネジャーへの処方箋

初めて評価をする側となった時に、マネジャーという役割を持った人間に期待されることは、組織とメンバーのベクトルを合わせ、組織と個人の両者にとってベストなパフォーマンスを発揮できるようにすることです。

考課を担う人は自社の評価のあり方を自分の言葉で説明できるように理解・咀嚼することが求められます。

今回は、現在ジェイシーテクノロジー社の組織活性化の推進に携わっている古田さんに、新任マネジャーやリーダーが陥りがちな悩みやその解決策のヒントをお話頂きます。

●紹介文
古田 京(ふるた きょう)
1982年、広島県出身。2006年にITベンチャーに入社。インフラエンジニアを経験した後、人事に異動。
その後社労士事務所に転職し、「IT×労務」を得意分野として企業の人事系コンサルに従事。2019年7月から ITエンジニアをゼロから育成するをコンセプトを持つジェイシーテクノロジーの管理本部責任者に就任。

新任リーダーの陥りがちなワナ

新しくリーダーというポジションにつくと、多くの方が「自分が会社を引っ張る」という気概を持ち、これまで以上に仕事に注力し、ご自身の能力を発揮されると思います。

平均年齢28歳の弊社では、早くからリーダーポジションにつき、チームをまとめながら会社を引っ張ってきた人を多く輩出しています。

しかしながらリーダーになった人が全員最初から上手くできたかと言われればそうではありません。リーダーとして仕事が今まで以上に上手くいく人、リーダーとして仕事が上手くいかなかった人もいます。

メンバーとしての仕事は素晴らしい一方でなぜリーダーとしては仕事が上手くいかなかったのでしょうか。これまで多くのリーダーを社内で見てきましたが、「組織の中でのリーダー」という役割を考慮せず、「自分の判断」で組織をリードしようとしていたことが上手くいかないリーダーの傾向なのではないかと考えています。

20代が多く占める弊社では早くからメンバーとして成果を出す人をリーダーに抜擢してきました。

しかし、年齢が若く勢いがありますが、人をまとめる経験やビジネス経験がないためリーダーは相当苦労しているのを目の当たりにしていきました。リーダーは組織を引っ張っていく存在ですので、組織を知らなければ頑張ってもうまくいきません。

メンバーを適切な方向に導くことができなくなります。リーダーは会社や組織が向かうべきベクトルを理解し、それをベースにメンバー本人が向かいたい方向と合わせていくことが必要になります。

組織とメンバーをすり合わせる人事評価

では、どういう点に注力して組織とメンバーのベクトルを合わせていくのが良いでしょうか。私は「人事評価」を基準にするのが一番だと考えています。

人事評価は「会社はここを評価します!」と示している制度なので、リーダーになった人はまず人事評価全体を理解することをオススメします。まずは、人事評価の基本についてご説明します。

人事評価とは、評価に基づき社員を育成し、企業としての生産性の向上を図り、企業の目標達成や業績のアップを実行していくシステムです。

会社として成果を上げた結果、社員の育成、配置、処遇の決定に活用するシステムとも言えます。会社としては、「○○してください」と決めたものに対して、実行し、結果がでれば、業績も向上し、利益確保されるので、その利益を社員に還元する際の分配根拠にもなります。会社目標とそれぞれの組織目標は連動しており、そこに個人目標が関連してきます。

また、人事評価は「育成」という観点でも使われることが多く、行動、目標達成に向けた取り組みを会社が評価し、よかった点はさらに伸ばし、よくなかった点があればそこを改善していくことで社員の育成を目的にもしています。

 

<人事評価の人材育成イメージ>

上記のような人事評価の主旨を理解したあと、次に評価プロセスの理解が必要です。

人事評価の対象となる職務活動を計画的、効率的に実施していくためには、「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」のマネジメントサイクルを徹底していくことが不可欠です。人事評価もこのマネジメントサイクルに従って行われます。

また、「評価(Check)」は、A能力評価及びB目標管理の2つの観点で行われます。

社員に求められる能力がどのように職務活動で発揮されたかを見る評価になります。それぞれ言葉の意味を整理しておきます。

【能力評価】

能力とは、企業が従業員に期待し、求める能力(職務遂行能力)のことです。
職務遂行能力とは、仕事を進めていく上で必要な能力で、次の保有能力と発揮能力に分けられます。

保有能力とは、従業員が保有する基礎的な能力のことで、自身の学習で獲得した知識・技能(習得能力)、実務経験から身に付けた判断力・企画力・指導力(習熟能力)などがこれにあたります。

発揮能力とは、勤務態度とも呼ばれ、規律性・責任性(組織を維持する能力)、積極性・協調性(組織を発展させる能力)など、従業員が保有能力を実際の仕事で発揮し、成果に結びつけるための能力。特にチームで業務を行う場合に重要となります。

会社では、売り上げや利益目標が定められており、これを達成するには、それぞれの業務を担当する社員が個々の目標を達成することが期待されます。

また、成果と能力の関係は下記のように示すことができます。

成果=保有能力×発揮能力

人事評価において、どんなに優秀な能力があってもルールを守らなかったり、仕事への取り組み姿勢が不真面目なら組織が期待する成果にはつながらないと考えます。

20代が多い弊社では、発揮能力に注力しています。顧客との約束を守る規律性、コンプライアンスを守ることを人事評価の柱にしています。
つまり、弊社の場合は、ビジネスを行うにあたっての「基礎」を最重要項目としており、リーダーになった場合、まずメンバーに徹底してもらいたい項目は「発揮能力の向上」です。
(中途採用においても「発揮能力の高さ」を求めています。)

【目標管理】

最初に仕事の目標を設定してその達成に向けて活動し、最終的にその結果を評価するという一連の仕組みのことです。

弊社はITの会社なので、メンバーレベルでは「ハイスキルなIT資格取得を行う」などがこれにあたります。リーダークラスになると「メンバーにIT資格取得をさせる」「顧客との関係を発展させる」というような項目が具体的に数字になって出てきます。

リーダーやマネージャーは組織目標を達成することが最大のミッションになります。そのミッションを達成するために、メンバーをどう行動させるのか、自分自身がどう行動していくのかは、その会社の「人事評価」に記載されています。

この人事評価に記載されている行動を理解したうえで、「会社が求めているものは何だろうか」「部署で求めているものは何だろうか」「自分自身が取り組むべき課題は何か」を探りながら行動していければ、リーダーとして成功するのではないかと考えています。

誰もが初めてマネジャーやリーダーになった時には、様々な悩みや壁にぶつかります。そんな時、古田さんがお話頂いたように、自分一人で頑張ろうとしすぎず、組織にある考え方にしっかりと立ち返ること、そこからヒントを得ながら自分なりに試行錯誤を繰り返していくことが出発点になるのではないかと思います。

ぜひ、若手のマネジャーやリーダーの皆さんは、その最初の壁を乗り越え、新たなステージへ向かうヒントにしてみてください。

▼会社概要についてはこちら

BELLWETHER

Bellwetherは、現場をなんとかしたいと思っているリーダーに向けて発信する、マネジメントメディアです。株式会社KAKEAIが運営しています。これから管理職に就こうとしているリーダーに、マネジメントとは何かを感じ取るための、様々な考え方や理論、組織を牽引するリーダーの考え方を幅広く紹介します。多様性を楽しみ、解なき複雑な時代に挑むリーダーを応援します。

アクセスランキング

運営会社