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マネジメントを変える

日本語、そして書き言葉と話し言葉ー嗚呼1on1

1on1のアジェンダで送られてきたテキストを2度見した「日本語について、意見が聞きたい」。

彼に何を伝えたらモヤモヤが解消されるのか。次の1on1で何を話せばいい?これは1on1を意義あるものにしたいと願うあるマネジャーの脳内思考です。

二度見した1on1アジェンダ

中途採用入社で配属されて4ヶ月のメンバーから1on1のアジェンダとして送られてきたテキストを見て、この後、やろうとしていたタスクが一瞬にして頭の中から消え去った。

というか、二度見した。

何のために?
状況を理解するために。

 

日本語について、意見が聞きたい

 

一体、彼に何があったのだろうか。知りうる限り、彼は日本生まれ、日本育ち。

報告・連絡・相談、意思の疎通に問題を感じたことは、勿論、ない。入社後、かなり順調に期待以上の役割を担ってくれている。関係者含めて、特に問題を認識している人は、部長を含めていない、はずだ。

というか、何かしら問題だと感じた人がいたら、本人にいう前に私に言ってくるのがうちの会社なのだから。彼はビジネス経験は2年程度だが、自分の考えていることを言語化して伝える能力は強みだと感じている。お客様とのコミュニケーションにおいては、引き出しの少なさを感じることはある。

しかし、やるべきことの目的とお客様の状況に照らした伝え方として「こんな風にお伝えしたら?」と提案するとすぐに吸収していく。

 

(筆者)「OK! もし、何か具体的な事象があったなら、先に教えてくれたら嬉しいです!」

 

大島さんに「お客さんのメールに『すみません』はないだろう。Slackじゃないんだぞ」と言われました。あと、これは大島さんからSlackでDMもらったんですが、「ついでに言っとくけど、お客様にメールで『ありがとうございます』って書く時には、何か言葉を補えよ。お前の日本語は、俺の基準でいうと、緩い

 

なるほど、恐らく理解した。大島は、私にとってはセリヌンティウスである。

(大島に聞いたら、私はセリヌンティウス『みたいなもの』だと言うだろう。しかし、ここで、正確さは議論の対象ではない。誰しもが走っているメロスであることの方が重要だ)

私の知りうる限り、大島は日本語の何たるかを語るようなバックグラウンドも趣味もはいなずだ。では、彼の指摘したいことは何なのか?仕事におけるスタンスや気持ちを伝えるのに、目的に合致した方法論としての日本語を適切に選択してるのか?という疑義と解釈して大方間違いないだろう。

(大島、どうもありがとう。君はやっぱり、セリヌンティウスだね)

答えを伝える1on1じゃツマラナイ

対面で話をしている時には「すみません」「ありがとうございます!」でも大きな違和感を抱かれることはない。しかし、お客様に何かしらお詫びの気持ちを「文章で書いて」示すときには「すみません」ではなく「申し訳ございません」の方が適切だろう。

そして、何かしらお礼を伝える際には、確かに「ありがとうございます」だけでは何かが足りない。相手方を慮ってお手数をおかけいただいたことにも触れるるか、対応いただいたことを次につなげたい旨を伝えるなどの姿勢を示した方が気持ちが伝わるだろう。

次の機会からは言葉をしっかり選ぶ・補うことを意識していけばいい。それには、他の人の表現を見て真似て、自分の言葉を増やしていくアプローチが有効だ。ただ、もっと根本的に彼のモヤモヤを解消するために伝えられることはないか。

日本語には、話し言葉(口語)と書き言葉(文語)がある。メールがビジネスの場面で一般的になった時に「メールはちょうど話し言葉と書き言葉が混ざったような文体だ」と明治大学の齋藤孝教授が言っていた記憶がある。

しかし、時代は進み、SlackやTeamsなどのビジネスチャットでお客様ともコミュニケーションをするのが一般的になってきた。2020年の感覚では、メールはより書き言葉(文語)的な位置付けになってきている。そして、当然ながらビジネスチャットは、話し言葉(口語)的に使わないと逆に受け手も違和感を持つだろう。

時には絵文字も含めた方が効果的に伝わることだってある。業務の中でテキストでのやりとりが圧倒的に増えてきている中では、そのやりとりをするプラットフォームと相手と状況に応じた日本語を使いこなすことでコミュニケーションが円滑に進められるようになっていく。

但し、言葉や文脈の受け止め方は様々であり、コミュニケーションプラットフォームへの認識も人による。だからこそ、学ばないと身に付けにくい書き言葉(文語)は学びつつ、挨拶や肝となるメッセージは、書き言葉(文語)でしっかり伝える。

そして、時には話し言葉(口語)や絵文字も場面に応じてうまく使いこなせるように場数を踏んでいくのがいい。そうしていくことで、仕事だけでなく、人生における全ての人との関係を豊かにするのを助けてくれるツールをきっと手に入れられるから。

これで次の1on1、3スッキリはいくのではないか、と思うけど。どうかな?

*本記事の内容は、実話に基づくフィクションです。筆者が過去に行った1on1の相手である当事者及び関わってくださったあらゆる立場の方に配慮しつつ「嗚呼!あの時の1on1でこう伝えられていたら!」という筆者の想いも含めて綴っております。

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