1. HOME
  2. マネジメントを変える
  3. 社長は役割 いつでも話せる関係と距離を大切に 
マネジメントを変える

社長は役割 いつでも話せる関係と距離を大切に 

メンバーのやる気を引き出し、チームの生産性を高めるためには、どういったことに気をつけてメンバーと関わればよいでしょうか。本連載では、幅広い業界のリーダーに、「マネジメントで大切にしていること」をたずねます。これからマネジメントに携わる現場リーダーたちに、マネジメントとは何かを感じてもらうためのヒントを紹介します。

●紹介文
西島 大(にしじま だい)1986年、関西出身。2009年CyberAgentに新卒入社。インターネット広告事業部に配属される。大阪支社で営業を経験し、その後、福岡支社へ。2013年に営業マネージャーに昇進、2014年には営業局長を務め、エリアの統括を任される。2018年5月からCyberACE代表取締役に就任。

『愛』をもってメンバーに接すること

——メンバーと向き合う上で大切にされていることはありますか。

「『愛』ですかね(笑)もちろん、最終的には組織成果を出すことが大事です。メンバーのパフォーマンスを120%引き出したいし、成功を支援したいです。相手のことを想っていないと本質を得たアドバイスができないので。僕はメンバーに愛を持って、一対一の人間として向き合う事がが大切だと考えています。人が驚くほど成果を出す覚醒トリガーは十人十色ですので、そこを見極めるためにも」

——愛を持って接するとはどういうことでしょうか。

「一人ひとりを尊敬して、人としての繋がりを持つことだと思っています。『社長』は役割の一つなので、メンバーから気さくに話しかけてもらえるよう、普段からフロアを歩いて、「最近どう?」と声をかけたりしますね。1分でもいいからメンバーと話したいです。もちろんCyberACEのメンバー全員の顔と名前が頭に入っています。組織規模にもよりますが、いつでも話せる関係と距離を保つ事を意識しています」

「マネジメントとは愛」と書く西島さん

メンバーを信用していなかった過去

——今のマネジメントスタイルはいつ身につきましたか。昔から愛が大切だと思っていましたか。

「入社3年目頃までは、今とは真逆のマネジメントスタイルでした。当時、5人ほどのメンバーを束ねていましたが、理詰めをすることで成果が出ると勘違いしていました。『なぜアポに行ってないのか?』、『なぜ受注できないのか?』帰社後すぐにダラダラと叱責するみたいな(笑)メンバーの強みや、弱みを一切考えることができていませんでした」

——何かきっかけがありましたか。

「入社5年目で局長になり、直属の上司が変わりました。その上司は、CyberAgentの現執行役員です。1年目の頃から可愛がってもらい、人生相談もよくする斜め上の先輩でもありました。そんな上司から『多くの人は過去の経験則、人生観でマネジメントを始める。でも大抵頭打ちする。だからもう一方で論理を学びなさい』と教えていただきました。マネージャー時代とは異なり、局長は任される領域、責任が大きくなります。チームの生産性を最大限にする必要があり、メンバーの育成を本気で考えるようになりました。幸いにもCAグループは優秀なマネージャー/経営陣と部署を超えてコミュニケーションできるカルチャーがあるので、先輩方の話を聞き、世の中のフレームを勉強して成功パターンの疑似体験することで自分の幅を広げてきました」

部下に向き合い本来の強みを伸ばす

——部下育成において印象深いエピソードはありますか。

「局長をしていた頃、僕は精神的に追い詰められてしまったメンバーや、別部署でうまくいってないメンバーを引き受けました。何かしら事情のある彼らには活躍の機会が無かったり、タイミング悪く強みを発揮できなかったと考えました。僕は人には無限大の可能性があると信じています。特に、不安を感じている人材は、本来の強みが出せない状態になっています。日頃から言葉をかけ、心理的安全性を保つように努めました。メンバーの強みを伸ばし、弱みがその強みを潰さないように「これはやめたほうがいいかも」「もっとこうしたほうが良いかもね」という”かも”トークを使いながら具体的にフィードバックしてあげる。今では誰もが驚くほど活躍する人材になっています。メンバーから教わったことの方が多いです。」

「団地のお兄さん」のように話しかけられやすい存在を意識しているそうです

——メンバーの弱みを把握し、強みを伸ばすために具体的にしていることはありますか

「半年から1年など時間を決めて、徹底的にそのメンバーに向き合います。とにかく相手のことを考え抜いて行動慣習、思考性、価値観から、アポの様子も全てメモします。話し方の癖、メールの内容、送信のタイミングまで細部まで理解に努めます。細かく指導をすると、メンバーは自分のやり方でないことを押し付けられるため、一時的にストレスを感じるかもしれませんが、体験を通じて自身で気づきや理解をしてくれます。頑張ることと成果が出る時間軸が違うように、伝えたことが理解されるまで一定期間は必要です。そこを根気強く、言い続ける勇気が必要だと思います」

——関係性が壊れてしまった相手はいないのですか。

「やり方次第だと思います。指導はきちんとしますが、メンバーが全力で取り組んだことは称賛します。みんなにも発信するし、『メンバー同士でお互いの良いところを見つけよう』とも話しています。少人数のメンバーをまとめていた時は、グロースファインダーをよくやっていました。メンバーの良い点、改善すればもっとよくなる点をメンバーの総意として伝えることで、対面では直接言えない些細な事も解消されます。チームの関係性が良くなりますよ。メンバーには明日からのアクションも宣言してもらいます。関係の質が良くなれば、思考が変わり、行動が変わり、結果が出ます。結果が出ればメンバーの自信に繋がりますよね。強い組織の共通項として、CA流の人事フレームである目標、言語、感情の3つの共通項を組織作りでは大切にしています」

グロースファインダー:アシミレーション(同化・融和)という研修プログラムをべースに開発。参加メンバー間で強みと課題を一枚の紙にまとめ、お互いにフィードバックをし合うというもの。これにより自分が成長(グロース)できる点を参加メンバーに見つけてもらえる。

マネジメントでもっと人が好きになる

——これからマネジャーになる人にアドバイスをお願いします。

「マネージャーはとても楽しいです。メンバーから教わることも多く、自分の知らない価値観に気が付くことができます。人のことがもっと好きになれます。例えば、僕は相手のことを本気で思いながら、マイクロマネジメントをして、『もうOKだと思ったらこれからは任せるね』というやり方をしています。マネジメントを始めたばかりのリーダーたちにも『言って、言って、言い続けるのが仕事だよ』と言っています。でも、マネジメントに正解はありません。経験談を聞いて、擬似体験をして、自分の幅を広げて、マネジメントの引き出しを増やしながら自分のスタイルを見つけていくことが大事だと思います。是非、マネジメントを楽しんでください!」

BELLWETHER

Bellwetherは、現場をなんとかしたいと思っているリーダーに向けて発信する、マネジメントメディアです。株式会社KAKEAIが運営しています。これから管理職に就こうとしているリーダーに、マネジメントとは何かを感じ取るための、様々な考え方や理論、組織を牽引するリーダーの考え方を幅広く紹介します。多様性を楽しみ、解なき複雑な時代に挑むリーダーを応援します。

アクセスランキング

運営会社