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マネジャーの仕事|Vol.0マネジメントフロー

マネジメントに関するさまざま書籍、偉大な先人たちの言葉、理論はどれもマネジャー(マネージャー)の仕事を理解する上でとても参考になるものの、現実的なマネジャーの仕事と統合して全体像を捉え、その中身を具体的に掴むのは意外と難しいものです。

このシリーズでは、マネジャーの仕事をフローで紐解きながら、それぞれを具体的に解説していくことで、次のマネジメントを担う皆さまに「今、何を意識して力をつけておくべきか」のヒントを提供していきます。

マネジメントとは?をフローで掴む

上図(マネジメントフロー・Management Flow)は、通期・半期・四半期などの事業サイクルや人事考課サイクルの一単位を切り出してマネジャーの仕事をフローで整理したものです。プロジェクト型の仕事であれば、一つのプロジェクトにおけるマネジメントのフローとも捉えられます。

当然、マネジメントは事業サイクルや人事考課サイクルで分断されるものではありませんが、マネジャーの仕事の最小フローとして全体像を捉え、その中身を具体的に掴むにはとても有効な図です。

このVol.0では、本シリーズの導入として簡単にマネジャーの仕事の全体像に触れます。

フローでのマネジメント分類

まず表頭にある大きなフローは非常にシンプルです。

後述の『種類での分類』については、例えば「業務“マネジメント”」や「ピープル“マネジメント”」というように、何となく呼称が存在します。一方、この『フローでのマネジメント分類』についてはそれにあたる言葉がより曖昧です。

ただし、マネジメントにおける強みや課題を捉える上では非常に重要な要素です。

例えば「自分はマネジャーとして『実行』×『人』マネジメントのボックスが課題」などがイメージできるだけでより具体的な改善アクションにつながります。

種類でのマネジメント分類

マネジメントフローの上下は、大きく「業務」と「人」で分けられています。
「業務」は「業務マネジメント」「業績マネジメント」「事業マネジメント」、「人」は「ピープルマネジメント」や「メンバーマネジメント」と呼ばれるものを指します。

例えば、マネジャーの仕事を、ドラッカーが定義する「組織の成果に責任を持つ者」だとします。

通常「組織の成果」は「自分一人では成し得ない」ものであるため、ドラッカーの言葉をより具体的にすれば「自分一人では成し得ない組織の成果を、人を活かすことで成し、それに責任を持つ者」です。つまり、マネジメントにおいて「人を活かす」という視点は必須です。

しかし、あたかもマネジメントには「業務」と「人」という全く別の2つが存在するかのようなニュアンスで語られることがあります。

例えば「マネジャーの仕事は人の育成です!」「課長Bさんは動機付けができないからだめ」などと言われるものです。

組織の成果という目的に対して、どの「フローでのマネジメント分類」×「種類でのマネジメント分類」のボックスへの注力が有効かという因果を敢えて無視すれば、「育成」や「動機付け」はあくまで手段であり、業務マネジメントとピープルマネジメントはつながっています。


詳細はVol.1以降で解説していきますが、例えば「自組織の役割とメンバーの理解・把握」×「人」のボックスである「メンバーの必要情報把握」においては、この後のフローを踏まえると最低でも下記のような情報を把握しておく必要があります。

一方、「達成と育成のシナリオ設計」×「業務」のボックスである「戦略とマスタープラン設計」においては、下記のような思考や作業が必要です。

これらが「最適な役割分担と目標設計」で当然結合され、さらにはそれがモニタリング方法の設計へ繋がっていきます。

つまり、業務マネジメントもピープルマネジメントも手段であり、それを完全につなげてこそ「組織の成果」の達成に対して合理的に機能します。

昨今、ピープルマネジメントが単独で注目されていますが、これは社会の成熟や戦略・戦術のコモディティ化により業務マネジメントレベルが社会全体で一定の高い水準になってきたことを受け、ピープルマネジメントが組織成果に与える影響度が相対的に高まっていることや、ピープルマネジメントそのものが古くから属人的なまま放置され続けてきたことが背景にあると考えられます。

このようなトレンドも踏まえ、次回以降で各ボックスをフォーカスして解説していきます。

次回Vol.1は「自組織役割の的確な理解」です。

vol.1|自組織役割の的確な理解:自組織の役割について明確かつ自分の言葉で語れるレベルまで理解・咀嚼する