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HR・テクノロジー動向

ツール選びに役立つ!世界のHR Techの進化史

HR Techの市場は年々成長しており、業務の自動化や一元化、可視化など、多種多様な機能を携え、魅力的なフィーチャーを追加されている製品が続々と世に出され、盛り上がりを見せています。

実際日本国内HR Techクラウド活用市場規模は、2023年度には1000億円以上の市場規模になると予想されており、その後も年間40%の成長が見込まれています。
(ミック研究所が発表した調査結果より)

現在国内だけでも449サービス以上ありますので、まさにHRテックの戦国時代であると言っても過言ではないでしょう。

しかし、「HR Techって、つまり人事の業務サポートツールでしょ?」と思われることがまだまだ多いのが現状です。

もはやテクノロジー関係ではお決まりになりつつありますが、日本はここでも世界に大きな遅れをとっています。

人事業務のサポートツールもたくさんありますが、テクノロジーと謳っているのはそれだけではありません。

採用の領域では、マッチングや面接をするAIがあり、さらには自動でSNSでの活動などのレファレンス、経歴や犯罪歴を伴うバックグラウンドチェックに関連するシステムが存在しています。

事業部が使用するものに関しては、現場のサポートとしてマネジャーに助言をするツール、育成なども担うタレントマネジメントツール、従業員の満足度を上げてエンゲージメントを向上させるもの、などもあります。

HR Techツールはこのように、SaaSやAIの台頭により、圧倒的な進化を遂げています。

今回はHRテックツールの発展の変遷を振り返りながら、日本のHR Tech市場が世界のトレンドのどのあたりにあるのかを把握しながら、自社のHR Techツールの導入がどの段階かもセルフチェックいただけるはずです。

今から自社のHRのデジタルトランスフォーメーションをお考えの場合は、HRテックの進化史そのものが、ツールの導入する順番の参考なるかもしれません。

オートメーション期

1990年代〜2000年初期から、PC及びインターネットの普及に伴いHRM(Human Resource Management:人的資源管理)が台頭し、企業の様々な業務が原始的な紙媒体処理からPCを使った業務に変わる頃、HR部門も大きなパラダイムシフトと同時に変化を迎えました。

従業員情報、給与の計算、福利厚生、人事評価などの人事業務周りのコアHRの仕事のオートメーションが、HRMの出現より急激に進められました。

のちに、より人事を戦略的に捉えるシステムとして、HCM(Human Capital Management:人的資本管理)が市場で注目され、日々進化を遂げています。

現在ではHRMとHCMの間に明確な定義が定められていないため、解釈により少し内容が変わってきますが、業務遂行の効率化に特化しているのがHRMで、人事戦略などに踏み込んでいるのがHCMと認識していただいて差し支えないでしょう。

また、HRMやHCMの一部の機能に偏っていたりする場合、別カテゴリに分けられることもあります。

例えば日本ではカオナビやタレントパレットはHCMとして紹介されることもありますが、タレントマネジメントシステムとして紹介されることも多いです。

カオナビ https://www.kaonavi.jp/
タレントパレット https://www.pa-consul.co.jp/TalentPalette/

インテグレーション期

90年代から2000年代初期に一気にオートメーションが進んだため、いろんなツールが乱立しました。

現在で言うとApple PayやPayPay、QUICPay、LINE Payなどと日本の電子決済システムのような状況です。

どこが一番シェアを取れるのか、一番使いやすいのどこなのかを競い、2004年頃から2012年頃にかけて統合されていきます。

同様の時期に世界の人事業界では成果主義の報酬システムなどが取り沙汰され、アドビが評価システムを年次評価から日常的なフィードバックシステムに変更するなど、業界全体も大きなシフトがあったため、HRのシステムにも多大な影響を与えました。

いろんな乱立したシステムが統合されたおかげで、データなども一元されたため、2013年のHR界隈ではビッグデータがバズワードとなりました。

次のエンゲージメントのフェーズに向けて可視化などが取り上げられるようになりました。

エンゲージメント期

データが見えるようになると、生産効率や離職率など、今まで見えなかったものや体感でしかわからなかったものが数値化され、突きつけられる形となります。

もちろん、結果を可視化して喜んでいるのも束の間。

原因がわからなければ解決策の立てようがない、解決策がなければ見えたところで意味はない。

より効率的に仕事を進めるにはどうしたら良いのか、従業員のエンゲージメントを高めるにはどうしたら良いのか、頭を悩ませた結果、まずは分析しよう!そして話に耳を傾けよう!ということで、「アナリティクス」「アセスメント」や「サーベイ」などが市場で活発な動きを見せます。

問題の可視化の次に、原因の可視化をしたので、打ち手を打つフェーズに入ります。

エンゲージメントを向上させることというのは、つまり従業員の評価に対する納得度、ツールの使いやすさ、職場環境、仕事のやりがい、キャリアアップ、福利厚生など、惹き付けて離れない様にするブランディングに近い施策が必要ということになります。

エンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience)などと、よく聞くようになった時期ってありませんか?エンゲージメントに関して、動きが活発になった時期がそれに該当します。

よって企業は目標管理の方法や、人材の配置、マネジメント教育や人材開発から社内コミュニケーションツールまでいろいろと着手し、環境を整えることに着手します。

テクノロジー界隈でもクラウドの活用やAIの台頭など大きな変化があったため、もう一つ顕著に変化しているのが、HRシステムのポータルからクラウドに変化しているところです。

社内のTeamsやSlackの導入もそのあたりかなという企業も多いでしょう。

この様な施策を打ち、従業員を惹きつける力を得たところで、人は満足しません。

さらなる高みを目指して、パフォーマンスの向上を検討する様になります。

パフォーマンス期

上記の様にビッグデータ出現以降、他のテクノロジー商品同様、HRテックの商品も多様化していきます。

HRテックの黎明期よりはるかに高度なテクノロジー戦国時代の幕開けとなっています。

そしていよいよ社員のエンゲージメントから、パーソナライズによるパフォーマンス最大化、チームのパフォーマンス向上、相互作用など、生産性に短期または中長期的に働きかける市場に目が向けられる様になりました。

AIの高性能化も加わり、今まででは想像もつかなかった様な、劇的に世界を変えていく可能性がある、ゲームチェンジャーと呼ばれるツール群が世界中の企業から輩出され、しのぎを削っている段階だ。

海外ではデンマークのPeakonやReflektiveなど、目標管理や1on1、フィードバックなどを通してパフォーマンスの向上をサポートしたり、離職のリスクを予測するシステムなどが注目されており、多額の投資を受け急成長をしています。

一方日本ではAIで1on1や日々のやりとりに基づき上司に提案を行って、部下のコミュニケーションをサポートするKAKEAIや、エンゲージメントサーベイや褒め合う文化を作るUniposなどがよく知られています。

パフォーマンス向上を目指し、ヒトの力を最大化していくツールがAIによって性能が高度化、複雑化していくめ、実に目が離せない状況となっています。

この様に、パフォーマンスまで突き詰めると高度でかつ専門的なところを極めた商品が多いため、商品の個性が立っているので、企業のニーズに併せて選ぶことができるのが魅力です。

まとめ

トレンドをざっくり振り返りつつご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

お勤めの企業は現在どの段階をご検討されているのか、どの様な世界観を目指されるのかによって、導入を検討するツールなどが大きく変わってくるかと思います。

ご参考までに、米系大手企業では平均9個、中小企業でも5個前後はHRテックツールを導入している状況です。

だからと言って、5個も9個も導入したほうがいいという訳ではありませんが、「〇〇やりたいけど一つだけ!!」と的を絞りすぎずに、視野を広く持っていただいて、自社に合ったものを複数個ピックアップしても良いではないかと思います。

目指す理想の環境を社内で目線合わせをしながら、それらをしっかり運用することが今後必要になってくるかと思います。

HRテックツールを選ぶ前にやっておくべきことについても今後ピックアップしていきたいと思いますので、お楽しみに。

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